【コラム】5年越しの証明

僕がバスケスクールを始めて1〜2年の頃、ミニバスチームの多い八尾市で指導していた時のことです。
我が子の成長に過剰なまでの熱意を持つ保護者と出会うことが何度かありました。

1つ1つのプレイに「あのタイミングは右に抜けた」「あそこで左に切り返して攻める」「相手の足がこの位置だったからここでこっちに切り返して・・・」

僕はこういった方を見ていていつも思います。
『じゃあ あなたは100%正しい判断でプレイし続けることができるのか?』と。
その方がもし有言実行できるなら、1対1では機械のように正確に相手の隙を突いたプレイを続けられるわけですから。
言ってる本人ですら出来ないことを言われた時、子供はわりと気付いています。僕自身、学生時代によく思ってました。

リバウンドの際「触ったボールは取れ!」とよく言われました。
その理由は「指先でも当たることが出来てるならあと少しで掴める。取りに行く気持ちがあれば取れたはず」ということでした。
でも、僕がジャンプして取れる範囲には限界があり、その限界ギリギリには”なんとか指先が触れられる範囲”もあります。理屈的な考え方と、根性的な考え方なのは理解できますが、取れそうにないボールをギリギリ触って怒られるのは納得のいかない話です。第一に、リバウンドには「取れそうにない時に弾いて寄せる」という技術もあります。
反骨精神の強かった高校生の僕は「あんたならそもそも触れんやろ」としょっちゅう思ってました。笑

僕は指導方針の一環として、練習には適度に参加するようにしています。
見本となることも1つですが、(わざとではなく)ミスをすることを見せるのも1つの指導だと思っています。子供達はバスケがどれほどミスが起きやすいスポーツか理解していない事が多いです。
NBA選手でも試合中にパスミスするし、ドリブルで自滅するし、シュートも半分はミスします。

バスケットボールは非常に流動性の高いスポーツです。ざっくり言っても0.5秒単位で状況や判断の基準が変わり、その中でしっかりと把握しながら判断していくスポーツなのです。

“この時はこう”という指導は結果論でしかないのです。
もちろん”味方がフリーで先頭を走っているならパスする”といった基本の概念はあります。
しかし、1対1の場面で細かくそういった判断の基準を教え込むと、同じ場面になったときに同じプレイしかできない選手に育ちます。

僕はこれを、スクール開始当初から何度も書いてきました。

そして今、僕はバスケ部の指導に就いています。
細かい部分のパスの判断を教えたり、「この時はこう切り返して抜く」といった教え方はしていません。

むしろいくつかの選択肢を全員に教え、あとはやってみた感覚を自分で振り返れるようにしています。
何人かの子供は、僕が教えた基本の考え方を超えて、どんどん自分で判断力を磨いています。時々、この上なくベストな判断でプレイを見せてくれた時は『おぉ、その判断に行き着いたのは素晴らしい・・・』とちょっと感動します。

僕は今 バスケ部の指導に携わって4ヶ月が経とうとしています。個人スキルの基礎は夏の大会後にゆっくりと取り組むつもりですが、既に保護者の方からは「別人のような動きになってる」と大きく変化した様子を感じてもらえています。
ですが、僕はバスケ指導者としてやるべきことをこなしているだけであり、本来なら資格保有者がしっかりと指導すればこれくらい伸びて当然だと思ってます。

古い指導スタイルの人達は、
自分が厳しく細かく教える→その分伸びる
と思っている方が多い気がします。

僕は
大きく伸びるように準備を整える→その軸を中心に自分で伸びていく
を尊重しています。

もちろん自分で考えてどんどん伸びていく子供と、それが上手く出来ない子もいます。その場合に「あの子は自分でフィードバックできないから全部伝えよう」ではなく、コーチとしてサポートしながら”自分でフィードバックが出来るように”育てることから始めます。

僕はこないだピック&ロールというオフェンスの技術を教えました。
しかし、守り方についてはほとんど教えませんでした。経験者でないと分からない話になりますが、P&Rのマークマンのスイッチorオーバーくらいは教えたものの、ヘルプは教えなかったのです。というのも、おそらくP&Rを多用するチームが中学女子バスケでは希少なので。

しかし、先日P&Rが行われているのを見たゴール付近の選手が先にヘルプポジションに入ったんです。これは少し驚きました。チームDFとして次にどうするべきかを、状況から優先度を判断して自分で動いてるんです。これはそのプレイ後に本人に伝えました。
それ以降のその子の成長速度はさらに加速しています。自分で判断して教えられていない動きをしたことが褒められ、さらに考えるようになったからだと僕は思っています。

僕がどれだけ頑張っても、それだけでは子供達は伸びません。
結局は本人たちが意欲を出すかどうかです。無理強いしても、最低限しか伸びません。
なので、意欲を引き出すことと、その努力を正しく導くのが指導者の責任だと僕は考えています。

投稿者: コーチRyo

バスケスクールONE BY ONE代表

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